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大津医学生会TOP > OMSAライブラリ− OMSAライブラリー<出典:大津医学生会誌 No.31, 2006> セレンディピティーとは?国立精神・神経センター総長 皆さんは「セレンディピティー(serendi-pity)」という言葉をどこかで聴いたことがあるでしょう。実際に、平成12年にノーベル化学賞を受賞された白川英樹博士のお話に出てきます。韓国から来た研究者を指導してポリアセチレンの合成反応を行っていた時のことだそうです。その人が触媒の濃度を読み間違えて1000倍にしてしまったために、それまで見たこともない「ボロ雑巾」のようなポリアセチレンの線維が偶然にもできたというわけです。その研究者は失敗したと思ってガッカリしたらしいのですが、ポリマーの電気伝導性についても考えておられた白川先生はそれを見逃さず、電気が通ることを確認、以後はこれを発展させてフィルム状のポリアセチレンを作成することに成功します。これがアメリカの研究者の目にとまって共同研究をすることになり、本来は絶縁性であるはずのポリマーにある種の加工をすることによって金属のような電気伝導性を帯びることの発見につながります。恐らく白川博士は、「自分は初めからポリアセチレンの線維を作ろうと研究していたわけではなく、偶々それを見逃さなかっただけである」と言う意味でセレンディピティーという言葉を使われたのでしょう。意図した成果ではなかったと言う意味で、多少謙遜のニュアンスを感じ取った人も多かったかもしれません。 確かに、このセレンディピティーという言葉は「当てにしない、求めてもいない良いものを偶然に発見する能力」「偶然恵まれた幸運を見逃さない能力」「幸運を招き寄せる力」「掘り出しものを見つける幸運」「掘り出し上手」などと様々な言葉で説明されています。要するに適切な和訳がないから、こういう色々な説明が必要になるのでしょう。けれども、これらをよく見ると、そこには二つの要素があることに気づきます。「幸運」という要素と、「才能・能力」という要素です。この二つの要素がそろって初めて「良い結果」が得られると言うわけです。少し具体的に考えてみましょう。 |
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