大津医学生会
入会案内
MENU
ごあいさつ
活動報告
趣旨・会則・運営細則
入会案内など
OMSAライブラリ−
サマーセミナー「市民健康講座」
お問合せ
医学生夏季保険所研修・ホスピス研修

大津医学生会TOP活動報告 > 医学生夏季保険所研修・ホスピス研修

長浜保健所での研修を受けて

村田 暢之(帝京大学・3学年)

東京に住み始めて、はや3年が経とうとしています。生活は快適で、こちらに住み続けるのも悪くはないかもなどと思いつつ、将来は滋賀県に戻ろうという気持ちも強くなっていきました。

部活には、ACLS(2次救命処置)、そして代替医療に興味があるので、熱帯医学研究会(なぜか今年の合宿は温泉療法を学びに東北で合宿)と東洋医学研究会とに入っていますが、合宿に行くのは東日本ばかり。同じ学年に滋賀県出身者は3人と少なく、このままだと、滋賀県にほとんど何の関わりもなく卒業してしまいそうだと思っていました。それで、少しでも地元に接点を持ちたいと思い、大津医学生会のことを知って入会しました。

サマーセミナーの次の日が学校の期末試験で、セミナーの準備などの手伝いを全くできず、みんなに悪いなと思いつつ、夏休みに医学生夏季保健所研修に参加しました。保健所を訪問したかったのは、以前、市役所で働いていたことがあり、行政の仕事そのものに興味があって、どのような業務を行っているのだろうという好奇心からでした。

長浜保健所の研修は8月8日からの3日間でした。小学生の頃、長浜に住んでいたこともあり、懐かしさを覚えました。

研修所に到着後、角野 文彦所長(OB会員)とお会いしました。ピンクのシャツにノーネクタイ姿が印象的なとても気さくな方でした。その日は月に一度のエイズ検診の日で、研修はその見学から始まりました。検診を受けにきた人は、エイズに感染しているかもしれないにもかかわらず緊張感がほとんどみられず、少し驚きました。その日は結核審査会もあり、そこには研修医の人たちも来ていました。

その日から3日間多くの保健所の業務を見学しました。所長からは、医師として保健所の職員として働く魅力を教えて頂きました。それぞれ貴重な経験でした。次に、保健所の業務としては最も意外であった食品表示の指導・監視業務について感想を述べたいと思います。

2日目の朝に食品表示の指導・監視業務の見学に行ってきました。見学先の店舗では、商品に賞味期限等を表示するシールが貼っていなかったり、賞味期限切れであったりする商品がいくつか平然と置いてあって、驚かされました。振り返ってみると、私の学校の近くにもよく食中毒を起こすことで有名な飲食店があるなど、食の安全を脅かす要素は周囲に溢れていて、自己防衛がいかに大事かを改めて感じました。

見学のときに食中毒のことについても少し教えていただきました。私の大学のまわりには飲食店が少ないので、週末以外は朝・昼・夜と自炊しています。しかし、食中毒を防ぐためにすべきことで頭ではわかっていても、実行していないことも数多くあることに気づきました。冷蔵庫はいつも収納に困るくらい一杯だし、野菜用と肉用の包丁は使い分けていても、まな板は2枚使わずに1枚の左と右で使い分けていたことなど。

3日間はあっという間でした。研修では長浜保健所の皆様にはたいへんお世話になりました。ありがとうございました。

ピースハウス・ホスピス病院でのボランティア実習

竹之内 響(滋賀医科大学・3学年)

2005年8月、例年になく驚くほど過ごしやすい気候が続く中、私は神奈川県にあるピースハウス病院でのボランティア実習に参加させていただきました。

小田急線の秦野駅から車で15分、緑豊かな山道を登っていくと、何ともあたたかみのある落ち着いた雰囲気の建物が姿を現しました。今回お世話になるピースハウス病院です。

ピースハウス病院は日本における最初の独立型ホスピスとして、1993年に日野原重明先生によって設立されました。治癒が困難な患者さんの症状を緩和し、その人らしく時を過ごしてもらうだけでなく、そのご家族への支援にも力を入れておられ、更には建物の2階部分を「ホスピス教育研究所」とし、ホスピスケアに携わる人材の教育・育成にも努めていらっしゃいます。今回、私と聖路加看護大学の2人を合わせた3人も、その研究所に宿泊させていただきながら3日間の実習をさせていただきました。

初日は、まず日本におけるホスピスや緩和ケア病棟の歴史、ピースハウス病院の理念についてなど簡単に説明を受けた後、病院内を案内していただきました。病院と言っても、広い庭には色とりどりの草花、エントランスには日野原先生が自ら選ばれた絵が飾られ、各病室へモニター中継もできるグランドピアノ付きの小ホールに、天気の良い日には広い窓から富士山を一望できる食堂と、今までに見てきた“病院”のイメージとはかけ離れたものでした。どの病室からも直接出られるようにつくられている中庭は、専門の園芸師さんがホスピスケアの勉強をした上で設計されたものだとのことでした。

ピースハウスのボランティアさんは、しっかりと研修を受けるのはもちろんのこと、実際に病院で患者さんと接し始めてからも、一定期間は「新人さん」が一人で病室に入ってはいけないという決まりがあります。食堂横には医師・看護師と共にボランティアの方々も写真付きで紹介されたパネルがあり、いかにこの病院でボランティアが大きな意味を成しているかがここからも感じ取られました。

実習が始まると、まずその内容の幅広さに驚きました。今まで実習などで見てきた“緩和ケア科”では、ボランティアの仕事と言えば午後のティータイムの準備や片付け、折り紙教室やビーズ細工などのアートプログラムと言ったところで、患者さんと接するのもそういう場に出てこられる患者さんとだけ、という感じでした。一方ピースハウスでは、それらに加えて清掃や毎食の食器洗い、配膳、毎週一回の理容室、各病室のお花のお世話、ナースステーション前の常時待機、ナイトケアなど、想像を遥かに超える役割をボランティアさんが担っていらっしゃいました。朝のカンファレンスにもボランティアさんが参加され、医師・看護師と共に患者さんの心理状態や昨日一日の様子、ご家族の思いなどについて話し合っておられ、チーム医療という言葉を改めて実感できた一面でした。

それぞれのティータイム

毎日3時頃から始まるティータイムでは、ボランティアさんが交代で作ってこられる焼き菓子やプリンなどのデザート、おせんべいなど数種類のおやつとホット・アイスそれぞれ3種くらいずつの飲み物が用意されます。手作りというところにも驚きましたが、各病室をまわって病室から出られない患者さんには全てご注文をお聞きして届けること、ご家族やお見舞いのお友達などにも一緒に楽しんでいただくこと、更には医師・看護師の皆さんも代わる代わるに休憩しにやってこられて、病院全体の憩いの時間になっていることがとても印象的でした。

病室で意識のない患者さんの側に付き添って静かにお茶を飲まれるご家族あり、家から連れてきた飼い犬とお孫さんが緑いっぱいの中庭で遊んでいる様子に目を細める患者さんあり、お見舞いのお友達と患者さん(時に看護師さんも交えて)が大勢で紅茶とケーキを召し上がっていらっしゃる優雅なティーパーティーの風景あり、と、本当に穏やかな時間がそこにはありました。

ナイトケア

これは市村さんというベテランのボランティアさんがなさっているもので、ご希望のあった患者さんの病室へ行き、その人ごとの病状や年齢などに合わせてマッサージをします。ターミナルの患者さんではむくみのある人が多いため、ほとんど力は入れず、患者さんの身体の重みだけを利用してゆっくりとやさしく手を当てていくこのマッサージこそ本当の「手当て」なんだよ、と市村さんに教えていただきました。患者さんによってはマッサージ中におしゃべりをされる方や、ただ静かに目を閉じていらっしゃる方、様々です。私たちはできるだけ「患者さんの時間」を壊さないように少し声をかけさせていただきながら、教えていただいたツボをマッサージさせていただきました。

この日、市村さんは泊まって帰られるとのことで、ボランティアさんが交代で泊まっておられるということにも驚きました。

お見送り

ホスピスという場所の性質上、やはりほぼ毎日なくなられる患者さんはいらっしゃいます。亡くなられてホスピスから自宅へとお帰りになるときは、病院にいるスタッフは手が話せない人を除いて全員が集まり、入ってこられた時と同じ玄関からお見送りします。私も3日間の実習中に1人の患者さんのお見送りに参加させていただきましたが、胸にはボランティアさんが中庭の自然のお花で作ったブーケが添えられ、お気に入りの服や帽子に身を包まれてのお見送りは、今までに見てきた「病院からの物言わぬ帰宅」のイメージとは大きく異なるものでした。もちろん悲しい死であることには変わりはありませんし、ご家族も、そしてスタッフの中にも時折涙は見られましたが、私には何故かとても明るく、暖かい死のイメージが感じられました。

ボランティア室にて

私たちは実習中、昼食をボランティア室で一緒にとらせていただいていたのですが、その昼食の間にも旅行の話や趣味の話などにまじって時に患者さんへの対応についてなど真剣な議論が行われることがあり、とても勉強になりました。

その中でなるほど感じ入ったお話の一つに、「『居心地の良い場所』をつくりすぎてはいけない」というものがありました。特殊な場合を除いて、やはりご家族のサポートというものをメインにすべきであり、死後のご遺族のグリーフケアのためにも、「あそこのスタッフすごく良くしてくれたよね〜」ではなく、「最後まで私たちがちゃんと面倒見てあげたね」とご家族が言えることがベストだというお話を聞いて、できること全てをしてあげるのが最善というわけではないのだ、と目から鱗の落ちる思いがしました。

3日間という短い間ではありましたが、本当に多くのことを学ばせていただきました。医師になろう、医学部を受験しようと思い立つ前から興味のあった緩和ケア・ホスピスケアについて、今まで見てきた医学生や患者家族としての視点とはまた別の角度から勉強させていただくことができて、本当に良い経験となりました。

最後になりましたが、ピースハウス病院の職員・ボランティアの皆様、患者様やそのご家族の方々、そして貴重な機会を与えてくださいました大津医学生会に、この場をお借りして改めて御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

このページのTOPヘ


サイトマップ